アニメーターバブル

同人誌の楽しみ方は、色々あると思うのですが、自分は買い専なものですから、本を手に入れる過程そのものと創作活動に触れる、というのが畢竟主題となってきます。


もちろん、事後、中古書店を回ってニヤスカするというのも、下世話な趣味ながら、まぁ楽しいものです。


以前はガラスケース送りになる本の定番といえば、エロゲー原画家サークルと相場が決まっていたのですが、昨今はいささか趣きが違うようです。そこで目に付くのは、いわゆるアニメーターさん主催のサークル。グッズセットは別にして、本単体で5,000円以上付くことさえ稀な昨今、BBMやら弁慶堂やらバニシングポイントなどは気を吐いております。


考証はしていませんが、昔からアニメーターの薄給ぶりはつとに知られておりまして、小遣い稼ぎに、持ち前の画力を武器にえろ本で、糊口を凌ぐ、というのは広く見られた現象でありました。


ところが昨今のいわゆる値段のつくアニメーター本は、エース級と云いますか、作画監督や演出を手掛ける著名な方が多くを占めているように見受けられます。


焼き直しと言えば焼き直し、投機の対象となったのだ、と考えることは簡単です。実際、その希少性ゆえに値段が付いている。でも、内容が評価されることなしに、内容の評価と無縁に値段が付くのは、今も昔も不幸である、と思います。なんというか、古い人間なので然るべき人の手に渡るべき、という固定観念がありまして…。


『同人王女』という、怪物王女のスタッフ本を故あって入手したのですが、アレを楽しむことの出来る人、というのはかなり限られた人間です。たぶん、いちばん楽しめるのは身内。要は作品に大なり小なり関わった人たちでしょう。絵コンテ集を楽しむには、かなりの素養といいますかスキルを要求されると思うのですが、全員がそれだけのリテラシーを持っているとも思えません。


むかしの偉い人は、うる星やつら作監ごとに、あーだこーだ、喧々諤々だったようですが、果たしてそこまでの情熱を持っている人が何人いることやら。


昔ながらのブランド信仰といいますか。ヲタもスイーツもやることは大して変わらん、ということなのでしょう。


例えは悪いですが、一流買い専のオレ様が華麗に馬越ゲット、ズザー、みたいな?



豚に真珠、猫に小判



思うに同じファンアイテム、持つことに意味があると思しき希少性エロゲンガーのフルカラーイラスト集の方が頭空っぽでも楽しめると思うんですけどね。


ハトプリも見てないのに、馬越ですくわぁ〜みたいな。如何にして苦心惨憺立ち回って、手に入れました、系は見掛けるものの、大半の人は買って満足、見て満足。誰か無知なわたくしめに馬越原画集の素晴らしさ、正しい楽しみ方を伝授して下さい。