ある日の出来事

虎の穴に行く。
特に何かを期待しているわけではないのだけれども、懲りずに100円棚を漁ってしまう。根が貧乏症なのだ。

それにしても、既に持っている同人誌「ほん」を買ってしまう悪癖はどうにかならないものか。悪癖と書いておきながら、当の本人が微塵もそう思っていないのだから始末が悪い。

なぜ手に取ってしまうのか。虎から不良在庫の烙印を押され、倉庫に置いておく費用すら惜しい、とまでおとしめられた同人誌「ほん」に憐憫の情を感じたからか。あるいは、その同人誌「ほん」を通して追体験をしているだけなのか。

自分がかつて好きだった、そして今でも大好きな、お気に入りの同人誌を100円棚で見つけてしまうのは、とてもとても悲しいことだ。資料用、布教用と称して保護するのにも限度と言うものがある。たぶん、「ねこバナナ」の8×8コミックアンソロジーなどは、今日お持ちかえりしたものを除いて3冊は保護している。「あかやまや」の某オフセ同人誌などは、下手したら軽く5冊くらいになると思う。
一頃は版違いや刷違いなどを調査(「あかやまや」の同人誌には必ず第何版かつ初刷かどうかが原則記載されている。つまり、第一回目はは必ず第1版第1刷となり、増刷されると第1版第2刷となるわけだ。そして、大幅な増補などがあれば版が第2版になるという仕組み)するべく、買っていた時期すらあるのだから度を超している、と今は反省している

それはさておいても、虎の穴が100円棚の同人誌「ほん」に直接レジを打つ行為は全く以って度し難く、冒涜的な行為である。まったくもって同人誌を馬鹿にしている。

もとより同人誌「ほん」の表紙に用いられる用紙、紙質は均等なものではなく、多様なものである。ツルツルしたものもあれば逆にざらついた質感を与えるものまで、実に様々であり、それゆえにこそ繊細なものなのだ。
そこに虎の穴はコスト削減の美名の下、シールをペタったとやる。それこそ何の躇らいもなしに*1
実に野蛮で、卑しい行為だ。
まるで同人誌「ほん」を大切にしていない。
同人誌「ほん」のことをまったく考えていない。

これが卑しくも業界の雄と呼ばれる企業のすることかと思う。同人誌「ほん」を粗略に扱う同人誌委託書店に残された未来はない(と信じたい)。

*1:100円棚なんだから、そのへんはスルーしろよ、という指摘はもっともなことは重々承知の上で