待てば海路の日和あり

今週も激動の1週間でした。FOMCが開催され、事前の予測通り、アメリカはゼロ金利を解除し利上げ(0.25%)に踏み切りました。FRBは、ウクライナ情勢、コロナで不透明ながらも、出口戦略に向け、遅まきながらインフレとの闘いの開始を宣言したことになります。徐々に金利を引き上げ、最終的には、中立金利である2.5%くらいまで引き上げる公算が高いです。場合によっては、ボルカー議長時代のような、極端な政策金利の大幅な引き上げをする可能性も考慮に入れなければならない、と警鐘を鳴らす専門家もいます。FOMCの結果を受け、市場は上昇で反応しました。

 

翻って日銀は、現在の緩和策の据え置きを決定しました。黒田日銀総裁は「円安は全体として日本経済にプラス」との考えを重ねて強調との由ですが、事実上の円安容認発言としか受け止められません。為替は、基本的には金利差で決まります。金利を上げられない日本と、着実な金利上昇が見込まれるアメリカ。ファンダメンタルズは、誰の目にも当分の間、円安基調が続くことを示唆していると思われます。

 

黒田日銀総裁は、風呂敷を広げたまま、もはや任期までの逃げ切りにしか関心がないことは明白です。異次元金融緩和は、文字通り、日本の国富、円の信認をチップにした危険な賭けでした。いまやその化けの皮は剥がれつつあり、市場の審判の日を待つばかりとなっています。いきなり破局が訪れるのか、生殺しのように延々と物価高と円安が続くのかは分かりませんが、誰かが宴の後の後始末をし、放蕩三昧の支払いをしなければなりません。フリーランチはないのです。

 

ロシアで起こった取り付け騒ぎが半ば面白おかしく報道されていましたが、全く他人事とは思えません。理由は違えど、あれが日本円で起こらない保証がどこにあるというのでしょうか。日本円で給与を受け取っている立場としては、極端な円安が嬉しかろう筈がありません。(以前からですが)、とりあえず、私は全財産を円建てで持つことは辞めました。ささやかな抵抗と言って良いでしょう。もはや、日々の決済に必要な金額以外は、全てドル転すべきか否かを検討するレベルにあるとさえ思っています。

 

そのときになって、後悔のないようにしたいものです。

(2022/03/19現在:1ドル119円近辺)