日本国の葬列

吉田茂以来の国葬が賛否両論の中、挙行されました。日本の主権と独立を回復するにあたり貢献が大であった吉田茂は、間違いなく歴史に刻む大宰相であったわけですが、安倍晋三元首相は果たしてどうだったのでしょうか。折り悪く、イギリスのエリザベス女王の逝去に伴う厳粛な国葬と比較されてしまう、ということもありました。政治姿勢とか、お友達への利益誘導とか、そういうのは百歩譲って置いておくとして、最大の争点は何と言ってもアベノミクスの出口戦略にあると思います。日銀に国債を大量購入させ、年金資金を株式相場につぎ込んだ。低金利・円安政策の是非と言いますか、その副作用が顕在化し始めているところで、本人は予期せぬ退場で非業の死。伝説となった。ある意味、日本の衰退をこれ以上見ずに済んだとも言えるかもしれない。しかし、残された日本国民は?日常は生活は、続いていく。第1次政権時の参議院選挙を除いて何度もあった国政選挙で尽く連勝させ、政治権力を与えてきたのは誰か。結局は自業自得に過ぎないのか。とは言え、自民党に投票しなかった有権者も等しく、そこから生じる災厄、結果を負わなければならないことに変わりはなく。発案者を失い、辞めるに辞められないアベノミクスを止めるには、結局、ハイパーインフレーションか経済的破局を待たなくてはならないのでしょう。その塗炭の苦しみに喘ぐとき、今日の国葬はどういった意味を持つのでしょうか。