何やら恥ずかしいタイトルですが、上記『氷菓』を買った本屋にて、各出版社さんの目録(と言っても文庫百選のたぐい)を配布していたので貰ってきただけなんですが、どうしてこの手の出版社は夏になると思い出したかのようにフェアをやりますか。まぁそれはどうでもいいですが、つーわけで気になった本とか、読みたいなぁと思っている本(と思いつつ読まない)とか、てきとーに語ります。
じゃまずは角川文庫から。
宮崎あおい、可愛ええなぁーじゃなくて、って目録みただけじゃ宮崎あおい起用していること自体気がつかなかったよ!集英社文庫のナツイチなんかはさながら佐藤隆太大特集なのと好対照だ。どっちが良いかは明白だが。HP見て気づくようじゃまだまだです(だから何が)。
- 『バッテリー』(I〜Ⅲ)あさのあつこ著
文庫落ちしているのは、Ⅲまで。大槻さんに薦められて読んだようなもの。『おおきく振りかぶって』とかで、野球に目覚めた人とかに是非薦めたい。ミハシと違ってこっちのピッチャーは超強気だけど。ところで、大槻さんって誰?という突っ込みは却下の方向で。
- 『失踪HOLIDAY』乙一著
乙一の作品は実はまだ読んだことがない。これはちょっと表紙が気になったのはないしょですが、なんか最先端ですよ、カッコイイんですよ、オーラが出過ぎていて(出版社サイドのプロモーションの方法が、という意)、敬遠してしまっている作家。ペンネームもふざけ過ぎていて、こういうのはあまり好きになれない。
NHKの人。ある意味ヒッキーの星か?未読。
古典部シリーズ。粗筋だけみると我孫子の『探偵映画』チック?なメタミステリっぽいのかな。買ったばっかで、これから読むんで、テキトーな想像です。
- 『女子大生会計士の事件簿』山田真哉著
なんか最近本屋でよく平積みになっているのを見掛けます。表紙が表紙だけにとても目立ちます。別にこの作品のことを揶揄しているわけではないのですが、萌え単以来、こういうコンセプトの作品が増えているような気がします。未読。
- 『ぼっけぇ、きょうてぇ』岩井志麻子著
なんつーか、灰汁が強い作家さん(かなりオブラート包んでます)。『夜啼きの森』と並んでこの人の出世作なんかな。公式WEBとか見ると、さもありなん、という感じです。特に「将軍様の相談部屋」(BBSです)の投げ出しっぷりは凄い!一回で良いから見とけ!という感じです。北方謙三大先生の名台詞「ソープに行け!」をどうしても思い出してしまうのですが。まぁネタとしてどうぞ。嘘を嘘と以下略とも言いますし…。未読。
『戦国自衛隊』キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!角川キターじゃなくて、映画しか見てないです、しかも初代のほうです。最近リメイクしたやつの評判はどうなんでしょ。未読。
売れてる作家さんですね。なんか自分ととかから見ると、ハンッという感じなんですが(ただのルサンチマンですね)。はいはい、イタリアね、フィレンツェね。おまけに辻の嫁さんは中山美穂でしたっけ(関係無い)。(映画の)CMばっかりが印象に残っています。エンヤのなんという曲だったでしょうか、あれです。未読。
自分の中では『家畜人ヤプー』と並んで奇書ランキング堂々の第一位を占める作品です(もちろん、『ドグラ・マグラ』がダントツトップで次点が、ヤプー)。煽り文句は、日本推理小説に燦然と輝く金字塔!とか最大の奇書とか色々言われていますが、今となってはちゃかぽこちゃかぽこしか覚えていません(笑)。森博嗣は犯人分かったとか書いてますけど…、ほんとかいな。青空文庫で久作の作品はかなり読めますので、『冗談に殺す』とか『死後の恋』、『狂人は笑う』あたりで耐性を付けてから読まれた方がよろしいかと。『悪魔祈祷書』とか『いなか、の、じけん』なんかも面白かったですね。『瓶詰地獄』とか『少女地獄』なんかはあんまり面白くなかったけど、タイトルだけで、読みたくなりませんか。
ま、あれですよ。「本書を書くために生きてきた」と作家をして言わしめた一大奇書であることは間違い無いです。ベクトルの方向はともかくとして、大きさは凄いのひとこと。
- こころ 夏目漱石
そうしてそこで美しい一対(いっつい)の男女(なんにょ)を見た。彼らは睦(むつ)まじそうに寄り添って花の下を歩いていた。場所が場所なので、花よりもそちらを向いて眼を峙(そば)だてている人が沢山あった。
「新婚の夫婦のようだね」と先生がいった。
「仲が好(よ)さそうですね」と私が答えた。
先生は苦笑さえしなかった。二人の男女を視線の外(ほか)に置くような方角へ足を向けた。それから私にこう聞いた。
「君は恋をした事がありますか」
私はないと答えた。
「恋をしたくはありませんか」
私は答えなかった。
「したくない事はないでしょう」
「ええ」
「君は今あの男と女を見て、冷評(ひやか)しましたね。あの冷評(ひやかし)のうちには君が恋を求めながら相手を得られないという不快の声が交(まじ)っていましょう」
「そんな風(ふう)に聞こえましたか」
「聞こえました。恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし……しかし君、恋は罪悪ですよ。解(わか)っていますか」
私は急に驚かされた。何とも返事をしなかった。
「また悪い事をいった。焦慮(じら)せるのが悪いと思って、説明しようとすると、その説明がまたあなたを焦慮せるような結果になる。どうも仕方がない。この問題はこれで止(や)めましょう。とにかく恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」
私には先生の話がますます解(わか)らなくなった。しかし先生はそれぎり恋を口にしなかった。
「私は私自身さえ信用していないのです。つまり自分で自分が信用できないから、人も信用できないようになっているのです。自分を呪(のろ)うより外(ほか)に仕方がないのです」
「そうむずかしく考えれば、誰だって確かなものはないでしょう」
「いや考えたんじゃない。やったんです。やった後で驚いたんです。そうして非常に怖(こわ)くなったんです」
無駄なものが一切無い、練りに練った作品。