誰がために4

例えば、わたしは、好んでSFとかミステリと呼ばれる小説を読むのですが、残念ながら一般的に言って、ごく控えめに言うとしても、とてもメジャー(主流)ではなくマイノリティー(少数派)であります。しかしながら、これらに関しては闘うマイノリティーでありまして、いわゆるSF者は、趣味者の中の趣味者、オタクの源流――その草創期において先駆者的役割を果たし、今でこそマンガ、アニメ・フィギュアなどそこから派生していった数々のジャンルに大きく遅れを取るものの――、に大きく貢献をしているところは、多くの人が認めているところです。これら、SF者はまだインターネットはおろかパソ通すらない頃から、各地でファンジン活動を通じて、活発な情報交換であるとか、作品批評であるとか、転じて自ら創作をしてみたりとかしていたことと比して、なんとお寒い状況でしょうか。思うに、情報の氾濫というのは、避けがたいこととは言え、無情なものです。おそらくは情報の飢餓感が彼ら先駆者たちの原動力だったのでしょう。事実、日本SF評論なので、見掛ける方々のお名前を拝見し、その経歴を眺めるに、ファンジン活動をしていなかった人を探す方が難しいのではないでしょうか*1

*1:考証の余地あり。適当に言っているので信じないように