誰がために2

「布教」というコトバがありまして、この業界(オタク)では、人に勧めるぐらいの意味で使われていますが、読んだことのない(/知らない)人に、貸したり焼いたりして(苦笑)、同志を作るという、えらく能動的行為でありまして、「面白かった、マル」よりは数段レベルが高い(業が深い)行為と言えます。
本の感想を書くというも、これに近い成分が多数含まれていて、読んだことのない人に、ぐだぐだ言わずに読め、という檄文としてのデマゴーグを志向するパターン(要は、手に取らせるという最初の取っ掛かり)か、よりクローズドに、もう完全に読み手を限定して、読み終わった人(同人であるならば縁あって入手できた人)を対象に、ネタを割って、「語るね、おれ」状態でやるパターンに大ざっぱではありますが、大別するとしますと、前者はニュースサイト系と言いますか、基本的な志向が網羅型と言いますか、こうした淡々と記録するよ的記述が多ければ多いほど紹介者としての立場に徹するという、ある意味、地雷処理班としての業務日報という性格が色濃いのではないでしょうか。
翻って後者は、と言いますと、絞っただけあって、一見(イチゲン)お断りの、特定の話題、特定のジャンルを専ら取り扱うディープな、「マスターいつもの」的なサイトになり易いと言えるのではないでしょうか。
前者はまこと時間のないリーマンオタにとっては、まさに福音のごとき存在でして、自分と波長の似通った管理人さんのサイトを見つけることが出来れば、自然と読むべき本の情報がキャッチでき、何を読むべきで何を読むべきでないか、の見当をつけることが出来るという非常に有難い、重宝するサイトさんと言え、金の鉱脈を掘り当てたも同然です。
これに対して、後者はピンポイントなサイトさんなので、あなたのダメ琴線にヒットすれば、すなわち当たればホームラン、でなければ帰れ、もとい三振で4タコという振幅の大きいサイトさんになりがちなのは万やむを得ないと言うべきでしょうか。わたしはこれらを称して、「アンテナな人」と呼んでいますが、常に話題豊富な人、悪い意味ではなく、こうしたトレンドに敏感な人というのは、あたかも擬似的な、自分の分身のごとく手足のように使いこなすことが出来る「アンテナ」を数多く持っているものです。