『タフの方舟 1 禍つ星』ジョージ・R・R・マーティン著

昨日購入しておいた『タフの方舟 1 禍つ星』を一気呵成に読了。上野駅で、買うマンガも本も見つけることが出来なかった自分はふとネット上で見た書評から、表紙にやや不安を覚えるものの(笑)、購入した次第。これがまた、久々に面白い作品で、はや後編が待ち遠しいという有様です。やはり持つべきものは、自分と波長の合う作品を見つけてくれるアンテナな人であります。失われた超文明ネタというのは、ついつい手が伸びてしまうジャンルであります。使い古されたネタとは言いますが、裏を返せば古典的であるがゆえを以って、陳腐であると断じることは出来ないわけで、有用であるからこそ多用され陳腐化していくものではないでしょうか。
と言うわけで、本作ですが、主人公タフの慇懃無礼な物言いと馬鹿にしているとしか思えない、この態度!実にいいですね。タフの口癖の「さようで」とか「手前が」とか伝染りそうですね。言うべきことは、前述の書評で大方網羅されているのですが、付け加えるとすれば、主人公の猫に対する溺愛っぷりでしょうか。猫のことを貶されると途端に機嫌が悪くなり…とその風貌と相俟って憎めないユニークな人物像の形成に一役買っています。
どうしても書いておきたいのが、環境エンジニアリング兵団の胚種船<方舟>号を入手する事になる顛末を描いた「禍つ星」の登場人物のひとりであるセリス・ワーン女史。この女(ひと)のヒス女ぶりと言いますか神経逆撫でっぷりは、空気を読まない言動とあいまって、爆笑の一言。