これは超大当たり。御大の作品にしては、えらく纏まっていて読み応えありです。Dカルトにて1.5Kしたのですが、納得の価格です。
思うにウエダハジメは、あまりに卓越し過ぎているので、しばしば「不親切」な作品も多く見受けられるのですが、本作『山百合会』は、彼の作品にしては、という条件が付きますが極めて分かりやすい部類に属する作品ではないでしょうか。不親切というのは、どういうことかと言いますと、敷居が高い、ないしは往々にして読み手を選ぶ、ということです。極端にデフォルメされたキャラクター、散りばめられたマイナーなネタ、絡み合ったプロット・・・etc。作品が作品となる前の舞台裏は決して公開してはならない、などという考えなど微塵もなく、咀嚼中なネタでも思いつきよろしく、どんどんと放り込む?ので、熟成される前のネタ満載となると、断片的なメモランダム的なものになって、あぁウエダハジメの本だね、ということになるのです(ex.コミケ69発行の『NICOMONO』は、ある種その典型と言えるかもしれない)。
内容は「山百合会を校内粛清機関として見立てる」というもので、最後の参考文献に至るまで作り込んであって、芸が細かい作品です。後書きにはもっともらしく、白薔薇さまがいかに恐れられていたかを示す著者?のエピソードまで添えられており、脱帽な作りです。