沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』

ちょい前に出てたやつをようやく読了。
なかなか見つからなくて、講談社かと思ってたら全然ちゃうの、そりゃ見つからんわ。


某所の沙村の短編はガチ、という意見には全く同意なので、迷わず特攻。
なんかアマゾンレヴュー見たら、‘読んでいて気分が悪くなり’とか‘がっかりです’とかそんなコメントばかり溢れているんですけど、一様にどん引きムードなんですが、この程度の温い描写で拒否反応ってどんだけーという感じです。まぁそういう人は、特にどれとは言いませんが、脳みそお花畑なものだけ一生読んでいて下ちい。
世の中には、もっともっと気持ち悪くて胸糞悪くなるハナシが溢れておりますですよ?それともアレか?自分がそのへんちょっと麻痺しているのか?


特にサイコーだったのが、ピアス・ドーソンとエリザベス・ドーソンの話。いきなり叫びだすから、何かと思えば・・・。伏線の張り方とか、そうとは明示していないのに事態が明白なあたりとかいちいち上手いですよね。全くこのストーリーの肝ではないにも関わらず、そう来るかと思いましたもん。そして、ラストの小瓶は次の話に繋がっているんですかね?にしても、名前とかがあれなんですが・・・。


惜しむらくはブラッドハーレー公爵の心情がほとんど語られなかったのでそのへんもうちょっと掘り下げて欲しかったなぁとか。孤児院の人も、グルな人あり、全く気付いていなかった人ありでそのへんとかもね。ラストで三七女とか記述してあって吹いた。まぁ全部養女にしていたらそれぐらいにはなるわなぁ。


総評、完全に趣味の作品です。
むしろ、エロに徹し切れていない、登場人物がほろっと仏心を出してしまうあたり、まだまだ修行が足りないというか、沙村広明が(読者に配慮して)手加減したんじゃないかと思うんですけどね。もっと人間の尊厳を踏みにじっても良かった。まぁかように思うわけです。



それとどうでもいいですが、自分は無限の住人は読んでいない人なんですが、作画が冬目景っぽいなぁとちょっとだけ思いました。ざっくりとした鉛筆描きな感じが。