「イベント(同人誌即売会)は誰のもの?」

「綿流し祭本祭」開催方法について】

ふと巡回していたらid:Motherlandさんのhttp://d.hatena.ne.jp/Motherland/20050625#p1で、表題のイベントについての雑感が書かれていて。それにいつのまにトラックバックがついていましたので、非常に興味深く拝見させて頂きました。どうして「興味深い」かと言いますと、すなわち「イベント(同人誌即売会)は誰のもの?」という問いに対する葛藤、「立場」によって生じる意見の相違のように感じられたからです。

わたしは同人誌即売会においては、これまで常に一般参加者として、参加してきました。あの悪名高い?ハトコミにも参加しました。鴨はうすさんも参加したりして(結果として)大混乱した、伺かイベントの先駆けとも言える「えんいー」にも行きました。ですから、どうしても「いち参加者」としての視点で、ものを語ってしまうことをここにお断りすることとします。

Motherlandさんの記述は、言うまでもなく買い専としての立場を代弁したものです。従来買い専は、同人界のピラミッド構造の中では物言わぬサイレントマジョリティでした*1。これに対して、http://d.hatena.ne.jp/HOY/20050625に書かれたHOYさんの記述は、経歴を私は存じないものの、イベントを開催してきた立場からの発言というふうに対比して捉えることができるように思います。

どちらの主張も一理あり聞くべきところはあるもの、結局のところ行く行かないは本人の自由であり選択に委ねられているのだから、好きにすればよい、というスタンスに収斂されてくるという考えについては私も同意見ですが、それでは歩み寄りも何もあったものではないですし、サークルさん/イベント主催者さん(及びそれに協力するスタッフさん)、そして、多数を占める一般参加者は、協力こそすれ互いに合い争うものではないと考えるからです。それぞれ立場というものがありますので、この3者の利益が完全に一致することはたいへん難しいことと思いますし、

普通に開催して主催サイドも参加者(サークル&一般)共に満足というイベントは、そうは開催できるものではありません。

という発言は非常に重みのある発言でして、尊重されるべき発言であると思います。であればこそ、皆が満足できるイベントというのを追及していく努力をおさおさ怠りなく続けていく、これこそがこの3者に課せられた責務*2でしょう。

そもそも、どうしてこういう争い(というより軋轢/立ち場の違い)が生じるのでしょうか。サークルさんもイベント主催者さん(及びそれに協力するスタッフさん)も一般参加者も、等価にこんかいのケースであれば「ひぐらしのなく頃に」という秀逸なビジュアルノベルに対して並々ならぬ感情を持ち合わせている筈です。常識的に考えて、一般に二次創作するとか、イベントを主催するという行為は、本(同人誌)を買うという行為に比べで負荷が高い、ないしはリスクを取る行為ですから、なおのこと、その想いは強いと考えて差し支えないように思います。
これが例えばひぐらしはおろか、マンガやアニメには一切興味ねーよっていうドキュソから見ればどっちでもいいよ程度(っていうかそもそもそういうイベントがあること自体、認識外)でしょうしオタ同士で何か言い合いしてるらしいぐらいのものでしょう。

要するに、好きだから、同族だから、尚のこと許せないのです。書いていて自分でもはっきりとそれを認識出来ました。

言うなれば内ゲバとでも言いましょうか、例えば、えらい昔の話かつ個人的な話で恐縮ですが、前述のえんいー1で、個人的に大ファンであるところの、つくりものじさんがコピー誌を出すということを聞き、のこのこ出掛けては行ったのですが、百戦錬磨の買い専たちの前に、あえなく買えずに涙を飲んだことがありました。うろ覚えで間違っているかもしれないのですが、色々物申す人たちがいたのかは、はてさて分かりませんが、鴨はうすのHPに掲載され、しばらくのちにオフセに再録されたように記憶していますが、当時の自分もさすがに始発だかそこらで言って目当てのものが買えなくて、カタログすら無く(完売したのか適当な配置図のコピーを数百円で買わされた記憶あり)、入れ替え制で、とタイトなイベントでしたが、このときばかりは「ふざけんな!」と思ったものですが誰を恨んだらいいのか、見当もつかないという感じでした。今の自分なら予想以上にブレイクした偽春菜(任意/伺か)というジャンル効果SSSなイベントに行くのだから、最後の最後は「自己責任」*3しかない、と考えることもできたのでしょうが、ただただ「買えなかった」という一点にのみ拘っていたように思うのです。あのときも確かに、皆、任意のことが好きでした。翼システムは目に見える悪者でした*4

私なりの回答をここで申しましょう。ひぐらしのイベントは、ひぐらしが好きな人の手にあるべきです。何を馬鹿な、と言われるかもしれませんが、この当たり前のことがいつもいつも実践されるているとは限りません。私が今回のイベントに行くことはありませんが、虎の穴やメッセサンオーメロンブックスが幾ら同人に理解がある企業といっても、それは同人で金儲けをしたいからです。「利潤を生まない企業に存在価値は無い」。これは自分が勤務する会社の社長の言葉*5ですが、虎だろうがメッセだろうがメロンであろうが変わりはありません。どういう経緯で、このような開催方法(3会場分散)、カタログ頒布(販売)が決まったのかはインサイダーではないので、寡聞にして知りませんが、少なくとも開催日の数日前に詳細をHPで告知して、不意打ち気味にカタログを「販売」したのは、どう贔屓目に見ても誉められたものではないでしょう。そんなことはとうの昔に決まっていたことでしょうし「イヤ、(詳細が)決まったのはホントに数日前なんだよ」と言ったところで、世間はそうは見てくれません。

前述の自己責任/自由/選択は、正しい情報提供の元に、独立した個人が個々に判断を下すものです。客観的に見て、どうなのか。自分の良心に問い掛けてみてどうなのか。与えられた情報をもとに推測し経験から推し量ってみてどうなのか。タイトなイベントになりそうなのか、そうでないのかを判断する。そしてリスクを取る。行って本を入手できないリスクを取るのか、そんなイベントは初めからなかったと覚悟を決めて忘れるのか。


決めるのは、他でもない、あなたです。

*1:検証の余地はありますが

*2:そこまで肩肘張らなくても、とは思いますが理念としてこうあるべきと考えます

*3:「自由」と並んでこのコトバほど、都合よく用いられ、誤用され、しかし、結局のところそれを引き受けることなしに、すべては始まらない

*4:もちろん、それを面白がってオチしていた人も当然いたわけですが、すべてひっくるめて

*5:うろ覚え。たぶん、こんな趣旨だったと思う