許された(インフレは遂にピークアウトしたか!?)

極東の島国では、秋~冬に向けて電気料金を筆頭にまだまだ値上げラッシュが続くと思いますが、日本時間2022/08/10の21:30、アメリカのCPIが発表されました。ガソリン価格の高騰も一服していたことから、事前予想からしてインフレ率の低下が予想されていましたが、実際に減速していたことが確かめられ、FRB金利引き上げのペースを緩めるのではという思惑から長期金利が低下し為替は一気に円高方向へ(2円以上!)、株価は急伸し、ほぼ全面高となりました。しかし、ここまで劇的に反応するとは、さすがにびっくりです。逆回転とでも言いましょうか、手のひら返しと言いましょうか、誰もが身構えいたので、安堵感からの買い、ショート勢の買い戻しがあったのでしょうか。

所詮統計ですから、よく例えられるようにバックミラーに映る景色を見て、一喜一憂しているわけですから、さぞ滑稽な光景に映るでしょうが、相場の関心がinflationの行く末にあるので、当面は雇用統計、CPI、FOMCの結果に敏感にならざるを得ないのでしょう。

たらればで、年始から振り返ってみると、6月がどん底で雰囲気も最悪でした。インフレは留まるところを知らず、長期金利は暴騰し、反対にリスク資産の投げ売られました。さすがにこのときは、自分も「降伏」しそうになったのですが、どうにか思いとどまり、というか気持ちは千々に乱れ決断できませんでした。想像してみてください、朝起きると何十万も「減って」いるんです。見なきゃいんでしょうけど、悲しいかな、確かめずにはいられないんです。後付けでは、年始早々に全売却、そこから静観し、高値から20%下落して、ベア相場入りを確認してから買戻し、その後のリバウンドを享受するというのが、これまでのところの最適解だったわけですが、それができれば苦労はしません。稲妻が輝く瞬間を逃さないためには、一部の天才投機家を除き、市場に留まり続けるほかはなく、下落も甘んじて甘受するほかないということが再び証明されました。まず、年始早々に全売却という決断をするのが無理ゲー。全員がFRBのインフレは「一時的」という声明を信じており、慢心し切っていました。絶好の押し目だ!と買い向かった人たちは、短期的には漏れなく爆死しており、遂に耐え切れなくなり、どん底損切りという、自分が売ったらなぜか上がる、を身をもって体験したことでしょう。やはりタイミング投資は難しいというか、ほとんど不可能だと思います。ミスターマーケットの気まぐれに翻弄されるのがオチです。

さて、今後の動向ですが、結局のところ「インフレは遂にピークアウトしたか!?」ということなのですが、考えても時間の無駄でしょう。丁半博打のようなものです。結局なるようにしかならないわけで、懐疑の中で育つとは言いますが、当面は綱引きが続くものと思います。出来ることと言えば、定期的に元本を投下し続け、スノーボールを大きくしていくことかなと思います。ボラが大きいので上手な人、機を見るに敏な人は鞘を取ることができるのでしょうが、三井松島とか見ていると、速攻で金持ちになりたい誘惑に抗しきれなくなるところですが、5年後、10年後を見据え、指数や大型優良株にベットしていくことが王道と心得え、着実に前進していくことが大切と言い聞かせ実践していく、大戦略が正しければ、些細な銘柄選択や多少の判断ミスがあったところで、大怪我はしない、そもそもの方針が正しければ、という条件付きですが。

注意しなければいけないところとしては、扱う金額が徐々にではありますが、大きくなってきたので、日々の変動が完全に手に負えないレベルまで来ていることです。完全に日々の変動額>入金力になってしまったので、増えたときはいいとして、減り続けると相当にしんどい思いをするということです。実際この半年、大切な資産が溶けていく様を久々に味わいました。単なる数字の変動以上の衝撃をもって、精神に作用します。円安マジックでだいぶ緩和されていたにもかかわらず、です。底で投げる、投げさせられる。売ったら楽になれる。まさに自分との戦い、欲豚のあさましさ。とは言え、地獄巡りツアーはまだまだ始まったばかり。これで許されるわけがない。騙し騙され。一切の希望を捨て、絶望の淵に立ち、総悲観が極まれば、物極必反(物極まりて必ず反転す)は、必然なれど、まだその極致に非ず。株式投資、一寸先は闇。ただ、トンネルの先の灯りが見え始めたこともまた事実。苦しいときは、基本に立ち返り、より良い未来を引き寄せていきたいと思います。